2025/11/28 07:50
葉っぱの舟というものは、
森の中でそっと見つかる“やわらかい乗り物”だ。
気まぐれな風が落としていった葉っぱに、
水辺の精がひとしずく魔法を落とすと、
舟のかたちになって誰かを待っている。
今日はその舟に、ふと乗ってみた。
水面は思ったより静かで、
ただゆらゆらと揺れるだけ。
それなのに、胸の奥にあるざわざわは
ゆっくり溶けていくようで不思議だった。
そばに小さなおともが座って、
きゅっと耳を動かしながらこちらを見上げる。
「大丈夫だよ」
その目がそう言っているみたいで、
息がしやすくなった。
行き先は決めていない。
誰も地図をくれたわけじゃないし、
この舟がどこへ向かうかもわからない。
でも——
森の流れに身をまかせて進む旅は、
思っていたよりずっと安心できた。
急がなくても前に進んでいくこと。
あてもなくても、心はちゃんと方向を知っていること。
風がそっと背中を押してくれる日があること。
舟に揺られながら、
そんな大切なことを思い出していく。
チイモリたちが旅立つときも、
こんなふうに“自然の流れ”に乗っていくのだろう。
必要な人のところへ、
無理のない速さで、静かに届けられるように。
葉っぱの舟の小さな旅は、
ただの遊びじゃなくて、
“心の向かう方角”をそっと教えてくれる旅なのかもしれない。
今日の森は、そんな優しい朝だった。
